○修学旅行。京都着。
 スタート地点はお任せします。(お寺でも旅館でも)

ちひろ「うわ~っ、京都~!」

 クラスメイトはみんなわいわい。
 潤は勇気を出して葉澄に声を掛けた。

潤「は、葉澄くん、あの……」

 潤に声をかけられて、びくっとする葉澄。
 だが、すぐに不機嫌そうな表情で、

葉澄「あ、うん。わかってる。せっかくの修学旅行だし、これまで通りに……だよね」

 と言って苦笑。
 そんな葉澄の態度に傷つき、胸がズキッと痛む潤。

潤(自分から別れようって言っておいて傷つくなんて……)
葉澄「俺、山田たちと回るから」

 葉澄は離れていってしまう。
 離れる二人の距離……。
 見かねたちひろと彩香ががしっと潤を掴み、「山田ァ~、一緒に回ろ~」「人数多い方が楽しいよね」と乱入していく。
 二人のおかげで潤と葉澄はばらばらにならずに済むものの、やっぱり気まずい。

潤(葉澄くん、出会ったばかりの頃みたい)

 目も合わせてくれないことに凹む。

潤(馬鹿だなぁ、わたし。今さら葉澄くんのことがこんなに好きだって気づくなんて)

 落ち込む潤の様子に見かねた葉澄が声を掛けようとするが……。

 タイミング悪く観光客がどわーっとやって来る。外国人のバスツアーらしく、大勢の人がわらわら通過していくせいでもみくちゃに。「痛てっ」「うわぁ」「きゃっ」とちょっとバラバラになるグループの皆。

葉澄「潤?」

 葉澄は潤がいなくなっていることに気づく。