○球技大会当日。グラウンドで円陣を組む2-A。
 皆が張り切る中、潤だけは寝不足でテンションが低い。

クラスメイト「よおおし、優勝目指すわよ!」
クラスメイト「おー!」
潤「おー……」

 そこへ、ハチマキを手に走って来る葉澄(遅刻)。

陽キャ山田「御門ぉ~! ギリギリじゃねえか!」ぷんぷん
葉澄「ごめん」

 クールに謝る葉澄。潤を見て嬉しそうに笑顔になる。
 満面の笑みで「おはよう」と言ってくれるが……。

潤「おは……」

後輩女子「キャーッ! 御門先輩カッコイイ~ッ!」

 潤の背後で、(大きめの)小声で興奮して囁き合う女の子たち。
 他にも遠巻きに葉澄を見ている女子生徒たちがたくさんいる。
「カッコイイ!」「見た?」「キスシーンが……」
 映画のPVを見た子たちが大勢いる様子。
 潤の頭の中には葉澄のキスシーンが蘇り、笑顔が強張ってしまう。

 キャーキャー騒がれるのは慣れている葉澄。
 女子生徒達には目もくれず、潤の元へ一直線。

葉澄「昨日はごめん、返事遅くなって……」
潤「あ、ううん! 気にしないで」

 葉澄は潤に手を伸ばす。
 変な位置におくれ毛があり、直そうとしてくれたのだが……。

潤「!」

 潤は身を引いてその手から逃れてしまう。
 慌てて取り繕うように笑った。

潤「ご、ごめん」
潤「あ! わたし、委員会の準備に行かないと! ね、田中くん!」

 田中と一緒に葉澄の前から逃走。
 葉澄は置いていかれて切なそうな顔で潤を見送る。