○蒼視点での潤の回想シーン
 階段下で転んでいる蒼に駆け寄る潤。

子ども潤『大丈夫⁉』

 心配そうに覗き込む表情。蒼は泣きそうになる。

子ども潤『ここ(階段)から落ちちゃったの⁉ 立てる?』
子ども蒼『あ、うん……』

 蒼は側に落ちていたノートを拾うとサッと手提げにしまって隠す。
 「逢坂蒼」の名前の横に、男子の乱暴な字で「ちゃん♡」と書かれている。
 (華奢な美少年の蒼。女顔であることをクラスメイト達にからかわれている)

 急いで潤の前から立ち上がろうとした蒼だが、足首が腫れていて立ち上がれない。

子ども蒼『痛っ』
子ども潤『大丈夫? 掴まって!』

 潤に支えてもらいながら帰る蒼。
 かっこ悪い……と落ち込んでいるが、潤は蒼を励まそうと元気に喋り続けている。

子ども潤『蒼くんちって坂の上なんだ! 毎日この坂登るの大変じゃない⁉』
子ども蒼『別に……。慣れてるし』
子ども潤『体力つきそうだね。スポーツ得意?』
子ども蒼『え……、どうかな……。走ったりするのは嫌いじゃないけど(友達が少なく暗めの表情の蒼)』
子ども潤『足早そう! 蒼くんカッコイイし、バスケとかサッカーとか似合いそうだね!』

 キラキラした笑顔の潤と、「カッコイイ」という言葉に心を射抜かれたような蒼。

蒼(きみは覚えていないと言ったけど)



○回想終わり。

蒼(あの言葉があったから、俺は変われたんだ)

 6話ラストの状態。「協力してあげようか?」と言った美織と対峙する蒼。

蒼「えーっと、隣のクラスの……」
美織「宮下美織。あなた、佐々木先輩の事が好きなんでしょう?」
美織「うまく行くように協力してあげましょうか?」

 美織の不躾な態度に困惑する蒼。だが、恋心を指摘されて少しムッとする。

蒼「俺が佐々木先輩のことを好きでも、宮下さんに関係なくない?」
蒼「あ、もしかして御門先輩狙い?」

 ちょっと煽った感じの蒼。
 美織は顔色一つ変えない。

美織「御門先輩のファンだけど、狙っているわけじゃない。佐々木先輩とは別れて欲しいと思っているけどね」
蒼「意味わかんない」
美織「別にいいでしょ。私は御門先輩と佐々木先輩を別れさせたい。あなたは佐々木先輩と付き合いたい。利害が一致してるじゃない」

 良く知らない美織と手を組むつもりはない蒼は誘いを断る。

蒼「あんたが何を考えてるのかわからないけど、必要ない」
蒼「俺は俺のやり方で潤ちゃんを振り向かせるから」
美織「振り向いてもらえるの? 男として見られていなさそうなのに」

 馬鹿にした感じで笑われた蒼はカチン。
 
蒼「は?」
 
 物言いたげな顔で睨み合う二人。