〇放課後、体育委員会の集まり。
体育館組・外コート組に分かれて当日の役割分担を説明されている。
潤は外コート組。体育倉庫に片づけてある得点版やライン引き、各自渡されたプリントを見ながら指示を受ける。
体育委員会三年生「1-A、2-Aは得点版を各コートに持って行ってね。この倉庫には五つ入っているけど、一つは体育館から借りてきて」
A組男女四人(潤含む)「はい」
潤「じゃ、体育館にはわたしが行くよ」
2-A田中「おー、頼むわ」
1-A二人「お願いします」
潤「任せて」
その潤の顔を1-A男子(蒼)がじっと見ている。
蒼「……もしかして……」
その後、解散になる。
今日は葉澄は先に帰っているため、潤一人で下校する。
門を出たところで先ほどの1-A男子・蒼が走って追いかけてきた。
蒼「佐々木先輩!」
潤「あ、さっきの。えーっと」
蒼「1-Aの逢坂蒼です」
蒼は爽やかで人懐っこそうなワンコ系男子。
蒼「あの、間違ってたらすみません。佐々木先輩って、転校してきたんですよね。昔、桜ケ丘の方に住んでませんでしたか……?」
潤「あっ、うん。そう。小学五年生の時にちょっとだけだけど」
蒼「桜ケ丘第一小学校?」
潤「なんで知ってるの⁉」
びっくりする潤だが、蒼は感激したように「やっと会えた……!」と言った。
蒼「俺、昔、潤ちゃんに助けてもらったことがあるんだよ。下校中に階段から落ちて……」
〇子どもの頃の潤と蒼のシーン。
二十段ほどの石階段の下でランドセルを背負った蒼が泣いている。
階段を踏み外して転び、動けないでいた様子。
子ども潤「どうしたの? 大丈夫?」
子ども蒼「足が……」
足首は腫れあがってしまっている。
潤は自分の肩に蒼の手を回して立ち上がるのを助けた。
子ども潤「家はどこ? 送るよ」
子ども蒼「えっ、でも」
子ども潤「いいから。一人じゃ帰れないでしょ?」
潤を支えによたよたと歩き出す蒼。
潤は笑顔で楽しい話をして場を和ませ、その笑顔を見た蒼は潤に好意を抱いた。
〇現代に戻る。
潤「……ごめん。覚えてない……」
蒼「あはは、無理もないよ。そのあと潤ちゃんはすぐ引っ越しちゃったし……」
潤「よくわたしのことを覚えてたね?」
蒼「潤ちゃん、全然変わってないもん。潤、って名前の読みも珍しいし。それに……」
恋する男子の表情で微笑む蒼。
蒼「会いたかったからね、ずっと」
普通の女の子ならドキッとするような少女漫画的シチュエーションと笑顔。
ややあざとい性格の蒼は、自分では「決まった」と内心でドヤっているような顔だが、潤にはまったく響いていなかった。
潤「ええ、そうなの⁉ わー、ありがとう!」
昔の知人と再会した程度のノリの潤に蒼はガクッ。
蒼「せっかくだし、一緒に帰りませんか?」
潤「もちろん!」
二人は仲良さそうに下校。
その様子を、美織がスマホで写真に撮っていた。
体育館組・外コート組に分かれて当日の役割分担を説明されている。
潤は外コート組。体育倉庫に片づけてある得点版やライン引き、各自渡されたプリントを見ながら指示を受ける。
体育委員会三年生「1-A、2-Aは得点版を各コートに持って行ってね。この倉庫には五つ入っているけど、一つは体育館から借りてきて」
A組男女四人(潤含む)「はい」
潤「じゃ、体育館にはわたしが行くよ」
2-A田中「おー、頼むわ」
1-A二人「お願いします」
潤「任せて」
その潤の顔を1-A男子(蒼)がじっと見ている。
蒼「……もしかして……」
その後、解散になる。
今日は葉澄は先に帰っているため、潤一人で下校する。
門を出たところで先ほどの1-A男子・蒼が走って追いかけてきた。
蒼「佐々木先輩!」
潤「あ、さっきの。えーっと」
蒼「1-Aの逢坂蒼です」
蒼は爽やかで人懐っこそうなワンコ系男子。
蒼「あの、間違ってたらすみません。佐々木先輩って、転校してきたんですよね。昔、桜ケ丘の方に住んでませんでしたか……?」
潤「あっ、うん。そう。小学五年生の時にちょっとだけだけど」
蒼「桜ケ丘第一小学校?」
潤「なんで知ってるの⁉」
びっくりする潤だが、蒼は感激したように「やっと会えた……!」と言った。
蒼「俺、昔、潤ちゃんに助けてもらったことがあるんだよ。下校中に階段から落ちて……」
〇子どもの頃の潤と蒼のシーン。
二十段ほどの石階段の下でランドセルを背負った蒼が泣いている。
階段を踏み外して転び、動けないでいた様子。
子ども潤「どうしたの? 大丈夫?」
子ども蒼「足が……」
足首は腫れあがってしまっている。
潤は自分の肩に蒼の手を回して立ち上がるのを助けた。
子ども潤「家はどこ? 送るよ」
子ども蒼「えっ、でも」
子ども潤「いいから。一人じゃ帰れないでしょ?」
潤を支えによたよたと歩き出す蒼。
潤は笑顔で楽しい話をして場を和ませ、その笑顔を見た蒼は潤に好意を抱いた。
〇現代に戻る。
潤「……ごめん。覚えてない……」
蒼「あはは、無理もないよ。そのあと潤ちゃんはすぐ引っ越しちゃったし……」
潤「よくわたしのことを覚えてたね?」
蒼「潤ちゃん、全然変わってないもん。潤、って名前の読みも珍しいし。それに……」
恋する男子の表情で微笑む蒼。
蒼「会いたかったからね、ずっと」
普通の女の子ならドキッとするような少女漫画的シチュエーションと笑顔。
ややあざとい性格の蒼は、自分では「決まった」と内心でドヤっているような顔だが、潤にはまったく響いていなかった。
潤「ええ、そうなの⁉ わー、ありがとう!」
昔の知人と再会した程度のノリの潤に蒼はガクッ。
蒼「せっかくだし、一緒に帰りませんか?」
潤「もちろん!」
二人は仲良さそうに下校。
その様子を、美織がスマホで写真に撮っていた。