突然何?
 もしかして――。

 新井くん、ここから出る方法を知ってるっぽい?
 お互いに好きって言い合う方法を?

「待って! 私が好きなのは……」

「知ってる。宮野が好きなんでしょ?」

「なんで知ってるの?」

「だって、ずっと前から小松さんの態度で気がついていたから。僕はずっと、ずっと小松さんのこと、見ていたんだ」

「えっ?」

「よく宮野を目で追ってるのとか、宮野に話しかけられると小松さんの顔が赤くなるのとか、知ってる……知ってるけど、僕は小松さんが好きで。付き合いたいんだ」

 初めて告白された。

 すごく一生懸命に気持ちを伝えてくれて。  
 だけど私の気持ちは――。

「私は、宮野くんが好きなの。だから気持ちを受け取れない、ごめんね」

 すっと自然に今、言葉が出てきた。
 言葉にしてあらためて確認する。

 私は、宮野くんのこと、こんなにも好きなんだなって。

 本人の前でこうやって素直に言えたらいいのに。

「そうだよね、なんか強引に手を引っ張っちゃったり、こんなこと言ったり、色々ごめんね」

「こっちこそ、ごめんなさい」

「小松!」

 その時、後ろから宮野くんの声がした。

「ドアのカギかかってたのに、どうやって入ってきたの?」

「裏の窓のカギが開いてた」

 今、葵ちゃんと宮野くんは並んで立っている。

 美男美女で、すごくお似合いだな。
 葵ちゃんに勝てる要素なんて、ひとつもない。

「結芽、ちょっと来て?」

 今度は葵ちゃんに手を引っ張られる。
 そして葵ちゃんが言った。

「ふたりで話すから、誰も来ないでね!」って。