「思ってたより良かった!」


「面白かったですね。」


「はい!」


「映画館は久しぶりに来ましたが、来て良かったです。」


「やっぱり映画館で観る良さもありますよね〜。
私が観たかった作品なので心配でしたが、先輩も楽しめたようでよかったです。」


「菅野さんと居ると、知らない世界にたくさん触れられて楽しいです。」


「ほんとですか?
そう言ってくれると私も嬉しいです。」


付き合ってもらってるばかりで申し訳ないと思っていたけど、先輩がそう思ってくれているならよかった。


「あれ、菅野さん?」


先輩がいる方向とは違う方から声をかけられて、思わず振り返る。


「山本さん?」


声の正体は、この間先輩と居た時にファミレスで会った山本さんだった。

あれから度々SNSでやり取りはしていたけど、会うのはあれ以来だった。


「お久しぶりです。
菅野さんもこの映画を?」


「はい。山本さんも?」


「はい。見知った横顔を見て驚きました。
よく好みが合いますね。」


「私も驚きました。」


「あ、この前の方も一緒だったんですね。」


「自己紹介してませんでしたね。佐山です。」


「佐山さん。すみません、度々お邪魔してしまって。」


「いえいえ。」


「俺はこれで失礼しますね。
菅野さん、またお話しましょう。」


「はい。」


軽く会釈をして山本さんは去っていく。


「良かったんですか?映画について話したりしなくて。」


「先輩も同じ映画みたんだし、語るのはいまから先輩とする予定でしたが……、ダメですか?
それともこの後なにか予定あったりしますか?」


先輩も映画を楽しんでいるように思ったけど、違ったのかな。


「そうでしたか。
少しもダメじゃないのでどこか座れるところに入って話しましょう。」


「はい!」