推し一筋なので彼氏はいりません




「コラボカフェってこんな感じなんですね。
すごい。壁面にキャラクターがたくさん。」


入った瞬間から席に案内された今も、まだ物珍しそうにいろんなところを眺めている。

確かに何かを推してないとこういう空間って入ることないもんなぁ。珍しいよね。


「先輩、何頼みます?
私はとりあえず遥斗くんのメニューを頼もうと思ってるんですが。」


ノベルティはランダムだけど、せめて頼むものくらいは遥斗くんを!


「普通に食べたいものを頼んでもいいんですか?」


「もちろん。
コラボカフェって見た目はもちろんですが、ちゃんと味も美味しいんですよ。」


「じゃあこれにしようかな。」


注文を済ませると、私は席を立つ。


「すみません、私はグッズを買いに行ってきますので!
……あ、やっぱりひとつだけお願いしてもいいですか?」


「もちろん。」


「中が何か分からないタイプのグッズがありまして、私は引きが悪いみたいなので、あの箱からひとつ選んでもらってもいいでしょうか。」


「え、俺が選んでいいんですか?」


「むしろお願いします!
遥斗くんじゃなくても怒ったりしないので!」


私は本当に絶対的な確率で外すから、先輩が引く方が何倍も可能性ありそう。


先輩と一緒に席を立って、アクリルスタンドとクリアファイル、そして先輩に選んでもらったアクリルキーホルダーとを手に持ちレジに並ぶ。

基本的にたくさんグッズが出るタイプのアニメじゃないため、ランダム系が一発で決まればお財布に優しい(?)仕様になっている。


「遥斗くんじゃなかったとき怖いので先輩開けてください。」


席に戻って早々、選んで貰ったやつを先輩に開けてもらう。


「あぁぁ、待ってください。まだ言わないでくださいね。
……はい、お願いします!」


深呼吸をして、遥斗くんじゃなかった時に備える。


「遥斗さんでしたよ。」


「嘘!ほんとに!?
え!ほんとじゃん!先輩神!ありがとうございます!」


今回のグッズのビジュ好きだったから最高に嬉しい!!

いやこの後まだコースターとランチョンマットが残っているけど。

アクリル系大好きな人間としてはとても嬉しい。


「喜んでいただけて良かったです。」


めちゃくちゃ喜ぶ私を見ながら、いつものようにニコニコと笑っている。

それがデフォルトだから別になんとも思ったこと無かったけど、もう今は神にしか見えん。