私がこの世で一番大好きな人

 先程より強い力で抱きしめてきたので、私も抱きしめ返す。


「そう言えば、リュカってお兄さんがいたんだね」

「ああ、自慢の兄さんだ」

「そうなんだ。ルークさん、リュカの怪我を短時間で治しててすごかった」

「……兄さんに目移りしてないよね?」

「目移り? 私はリュカしか見てないよ?」


 ここには彼しかいないのに、何を言っているのだろうと思いながら返す。


「俺もリーベのことしか見てない」


 よくわからないけど、彼が嬉しそう。
 それだけで私もなんだか嬉しく感じるから、理由なんてどうでもいいか。


「さっき色々抑えてるって言ってたけど、何を抑えてるの?」

「……色々だよ」

「だから色々って?」


 なんでそんなに言うのを渋るのだろう。
 何か私には言いにくいことなのだろうか。


「何か我慢してるなら言って? 私にできることならなんでもするから」

「だから、そうやってあんまり可愛いこと言わないで。抱きたくなる」

「……?」


 “抱きたくなる”って、もう抱き合ってるのに何を言ってるんだろう。

 もっと強く抱きしめたいってこと?

 別にそんな簡単に潰れるわけでもないし、それならしてもいいのに。