「そんなに警戒しなくても大丈夫だ。俺たちはそいつの仲間だよ」
敵意がないと伝えるようにその人は私に笑いかけてくる。
「そいつの様子を知りたいから、近づいてもいいかい?」
「この人のことを傷つけたりしないですか?」
「ああ、君にもそいつにも危害を加えたりなんてしないから安心して」
両手をひらひらさせて言うその人の顔がリュカと同じように優しいもので、私は無言で頷く。
その人は彼の体を見る。
「これは酷い怪我だ。出血もすごいし、早く治療してやんないとな」
そう言って彼に背を向けて背負おうとしたのを見て、彼がどこかに連れて行かれるかと思って、私は慌ててそれを阻止する。
「どこに、連れて行くんですか?」
「俺たちの職場だ。そこに行けば、こいつの傷を治療できる人がいる」
「なら、私もついていきます」
「最初から君も連れて行くつもりだったさ。君だって酷い怪我をしてるしね。ところで、歩けそうかい?」
その問いに私は頭を振る。
今は気力でなんとか座っているけど、全身が痛くて、とてもでないけど歩けそうにない。
その人は近くにいた他の人に私を運ぶようにと指示を出す。
彼から離されると思って、彼の体にしがみつく。
「別にこいつと離れ離れにしようとしてる訳じゃない。移動するだけだから、少しだけ我慢できるかい?」
「本当にリュカと離れ離れにならないですか?」
「ああ、本当だ」
この人の言うことを信じて、私は後から来た茶髪の人が足枷を外すのを大人しく見ていた。
金髪の人は手際よく彼に包帯を巻いていた。
そして茶髪の人に抱き抱えられ、部屋から出される。



