「おー。 雪と翔平じゃん」


ビュッフェ入口の近くで、カートを押している大雅に会った。


ここ、すごく広いからな……。


知り合いがすぐに見つかって、よかった……。


ラッキーと思いつつ、カートに乗っている大雅が選んだメニューを見て、ぎょっとする。


「お前……なんでスイーツだけ?」


「好きなもん食べるのがビュッフェだろ」


大雅ってこんな甘党だったか……?


面白くて笑っていると、誰かが大雅に後ろから抱きついた。


「いた! 夏帆ちゃん!!」


大雅の肩からあごをひょこっと出した夏帆ちゃん。


二人とも、ラブラブすぎて反応に困るわ……。


「あら、翔ちゃんと雪ちゃん!」


「げ、母さん」


近くで座っていた母さんに声をかけられる。


席は、俺と雪の分まできちっと用意されていた。


「よーし! 全員揃ったところで、いただきまーす!!」


「いただきます……って、俺と雪はまだご飯選んでないんですけど……」


隣の席に座っている雪が、くすりと笑った。


「翔平、一緒にご飯選びに行こう!」


「お、やった」


雪と一緒にいる時間が増えるので、俺は喜んだ。


「翔ちゃん、雪ちゃんの前だと正直ねぇ」


母さんからの冷やかしの声も聞こえたが、俺は無視をして雪の手を取り、ビュッフェのおかずを取りに行く。


………隣のテーブルに、嫉妬にまみれた男がいたということも知らずに。