それから、ほんの10分後。


「夏帆……大好き」

「もう、大雅!」


ポテトをつまみながら、私は正面の席に座るカップルを見て苦笑いを浮かべる。

大雅くんは夏帆ちゃんと肩を組んでいて、ほっぺをつついたりと愛でている。


あはは………もうすっかりラブラブだあ……。


「あの……人前でイチャつくのやめてもらっていいすか?」


そう言った翔平も苦笑いだ。

別行動の時間は十分もかからずに終わり、今はファストフード店でお昼ごはんを食べている。


「ゆーき。ポテトちょうだい?」

「いいよ。はい、あーん」


一つ取って翔平の口の前に差し出す。

ふふっ、ちょっとからかっちゃった。


翔平なら、真っ赤な顔して断るだろう。


「あはは、じょうだ………」

「ん、さんきゅ」


……私の予想とは違い、翔平はぱくりとポテトをくわえた。


「………へっ……」


驚きすぎて、顔が真っ赤になる。

は、はずかし……からかったつもりだったのに。


「雪、顔赤いね」


くすっと笑ってこっちを見た翔平。

よく見ると、翔平も赤い。


「翔平もだよっ……」


慣れないことをするのは、良くないや。

なんだか照れた雰囲気が、店内に漂った。