「っ、翔平! どこに行くの?」

「あー、ごめん。なんか恥ずかしくて」


照れながら口元を隠す翔平。

大好きって言ったこと、けっこう勇気出したんだなっと実感する。


「雪ってさ、さっきの告白。どういう風に受け取ってくれるの?」


………どういうふうにって?

翔平の言った言葉の意味がよく分からなくて、首を傾げると、翔平は困った顔をした。


「……結構天然だよな。返事って意味だけど……」


………!

返事って………翔平の告白って……。


「恋愛対象ってこと……!?」


誰もいない廊下で、私の驚いた声だけが響いた。

………え……!?


「……最初からそうなんだよね」

「うそ………私分からなくて……ご、ごめん」


私がそういうと、翔平は悲しそうな顔をした。

………あ。


「ち、違うよ! 告白を断ったわけじゃなくて……」

「てことは、オッケーってこと?」


そう言った翔平に、微妙な気持ちになった私。

翔平のことは、友達みたいにしか思ってなくて、つい最近葉月先輩にも告白されたばかりで、簡単にオッケーとは言いづらいというか……。


「あー……。なんとなく分かった。じゃあ、こういうのはどう?」


そういった翔平は、私のあごをちょこんと持って、不敵な笑みで口をひらく。


「俺が彼氏になれるかどうか、試す期間、一週間設けてよ。夏休みに」


………お試し期間、設けてって……。

ちょっとズレてる翔平が、まさに考えそうなことで。


ふふっ。生徒会役員なのに、なんか抜けてるんだよな………翔平って。


「あー。今、雪笑ったでしょ。俺本気なのに」


思わずくすりと笑ってしまって、翔平は恥ずかしそうに怒っていた。