「あ、雪! ご飯食べよ」

「うん!」


彼氏の大雅(たいが)くんと話していた夏帆ちゃんが、私に話しかけてくれた。


夏帆ちゃんの彼氏の(はやし)大雅くん。

私の幼馴染で、お兄ちゃんの料理友達だから、私の家にもよく遊びに来る。


私と話している夏帆ちゃんに一目惚れしたそうで、色々あったみたいだけど、今はラブラブだ。


「雪、昨日のコロッケ美味しかった?」

私がニコニコしていると、大雅くんが怖い顔でそう言った。


「え? 美味しかったけど……」

「璃から聞いたけど。昨日、俺の分のコロッケ食べたんだって?」


お兄ちゃんから聞いた…………?

顔が青くなっていく。

まさか『明日のお弁当用』って……。


「雪のおかげで今日の弁当、日の丸だよ」


太雅くんは白米と梅干しだけのお弁当を見せて、怖い顔で笑った。


「ごめん、大雅くん」

大雅くんのお弁当が……。


大雅くんの『璃特製コロッケ』愛は知っている。