「―――雪が、そんなに抱え込む必要はないんじゃね?」



いつの間にか部屋のドアが開き、陽気な声が聞こえた。


声の主は、こう見えて超ポジティブな大雅くん。



「会長も、……翔平も。勝手に告白してきたんだろ? しかも、どっちも返事は急いでないんだし、雪のペースで考えればいいんだろ」


「……え、雪って翔平にも告られたの?」


私はコクリと頷く。


それを見た夏帆ちゃんは、納得したような表情を見せた。


「あーでも俺は、返事は早い方がいいなぁ……ね、夏帆?」


「もしかして嫌味ですか? オーケーしたんだからいいじゃない」



夏帆ちゃんと大雅くんがじゃれあっている中、私の中で一つ、目標が決まった。


大雅くんのポジティブ論のおかげで、心が軽くなった気がする。



「夏帆ちゃん、大雅くん。私、決めました」


「んー? なに?」


すぅ……と深呼吸。


「葉月先輩とも、翔平とも、恋愛対象として向き合って……文化祭のイルミネーションで、告白の返事をしようと思う」


二人は目を丸くして、数秒見つめあう。




そして、「頑張れ」と言って拍手をしてくれた。