清々しく晴れ晴れとした空の下、私、黒崎陽菜はただ呆然と窓を見つめる。暑い夏の日だというのに、寒気がする。熱でもあるのかと思って、体温計を取りに行こうと思ったが、めんどくさいからやめにする。「めんどくさい」、いつの日から、そう考えてしまうことが多くなった。自分でも何故だか分からないし、そんなことを考える余裕はない。そうこうしているうちに、部活の時間が近づいてきた。もう今日何度目か分からない深いため息をつく。私はバレー部に所属しているのだが、うちのチームは市内でも1番弱い弱小チームなのだ。そこはそうも気にしていないのだが、問題なのは顧問の石田だ。いつもやる気の無さそうな顔をしているし。それにこの前の出来事はもっと酷かった。普段はいつも私が1番最初に体育館に来て準備を始めているだが、この前は違って、チームメイトの心音が先に来ていた。しかも石田も珍しく私より早く来ていて、その日たまたま早く来ていた心音を褒めた。心音みたいな早く来て準備を始めている奴はきっと将来いい大人になるんだとかなんとか。先生がこの話をしているとき、なんとも言えない後悔が私を襲った。なんだか、私が今まで頑張って誰よりも早く来て準備をしていた努力が全否定されているような感じがして、本当に悲しかった。涙が出そうになったが、出てはくれない。どうせ私は泣けないんだから。深呼吸しながら自分を落ち着かせる。いつもは聞こえない時計の針の音が、妙に大きく聞こえる。とりあえず早く家を出ないと。私は早々と体育館へ向かった。
