『・・・ここ、どこ?』

目を覚ますと目の前に朝さんが笑った様子で立っていた。

『まんまと騙されてくれてありがとう、坊や。』

僕はその言葉でわかった。僕は騙されて、誘拐されてしまったのだと。

僕の周りを一周する彼女はとても凛とした顔立ちでいかにも有名人という感じだった。

『辻太陽くんよね。ひなくんって呼ばせてもらうわ。』

少しミステリアスな雰囲気があった彼女は、僕を愛おしそうな顔で見ていた。

その顔に嘔吐しそうになってしまったこともあった。

『あなたは、これからここで暮らしてもらうわ。キッチンとかベッドとかお風呂とか自由に使っていいけれど一つだけ。』