「神澤さん?神澤さん、聞こえますか?」

目の前で繰り広げられている光景。

僕はさすがに気づかないふりはできなかった。

でも、ひかるちゃんはまだ生きているとそう信じていた。

僕がそう思っていなきゃ、意識を取り戻さないような気がしたから。

「神澤さん!!」

嫌だ、そんな焦った風に言わないでよ。

まだ生きているよ?ひかるちゃんは。

まだ生きているのに死んだ風にしないでよ。


「ひかる!!」

「ひかるさん!!!」

綿とみらいも来た。

僕は部屋の隅でスローモーションかのように流れているその光景を見ていた。

二人はそんな僕には気づかず、ずっとひかるちゃんを見ていた。

そして太陽は僕を笑うかのように沈んでいった。


あたりが真っ暗になるまで、僕はひかるちゃんを見つめていた。