「……ひかるちゃん?」

返答のない私に心配したのか顔を覗き込んできた。

私は突然のことにびっくりして飛び跳ねてしまうくらいだった。

「あ、うん。ね。」

私は心ここにあらずのような声を出して返事をした。

そして遠かった病室までの道がもう終わってしまった。

「ついた、ね。」

「うん」

綿ちゃんにどんな事を言われてしまうのかを不安に思っていたけれど、綿ちゃんは前みたいな怖い顔じゃなくて。

「うん、わかった。おめでとう」

優しい温かい笑顔を見せてくれた。

多分太陽くんには弱いんだろうなあ、綿ちゃん。

昔から好きだって言っていたから。

そういえばあれから朝さんも病院嫌いだからかあまり来ないようになった。

朝さん、面白い人だったのに残念だな。

無理してこさせていたのかと思うと私は申し訳ないような気持ちになったけれど

あまり考えないようにすることで罪悪感を押しつぶしていた。

そしてそれから二週間ただただ幸せな日々を送っていた。