「ひかるちゃん」

「あ、太陽くん。」

私は愛おしいその声が聞こえてきた方へと向く。

太陽くんは今日は学校から直できたのか制服できていた。

「今日は制服なんだね。」

「うん。今日は少しHRが長引いちゃったからね。すぐきたくて、家に寄らずに来た。」

太陽くんは今お父さんとは離れて一人暮らしをしているらしい。

太陽くんのお父さんは精神科医をしているらしく、北上牧の方だから結構離れている。

ここの病院は上牧で一番大きい病院で、入院している人も多いし、一応すべての科があるらしい。

だから、出ようとしても結構距離があるから簡単には出られない。

精神科もあるのだけれど、みらいが言うに不眠症の治療の時は太陽くんのお父さんのところがいいと言っていた。

南上牧にあるこの病院だけれど北上牧の方から来たという人も珍しくはない。

私も以前は北上牧の方へ住んでいたけれど、みらいの高校進学で引っ越した。

「じゃ、私大学戻んなきゃだから、帰る。ちゃんと綿ちゃんに報告しろよー」

「「はーい」」

みらいはいつまでも私のことを気にしてくれている。

本当いいお姉ちゃんだなって思う。

私たち姉妹は、ずっとお母さん一人の力で養われていた。

父は私が6歳のときに他界している。

みらいは他界してから実の父のように優しくて頼りがいがあった。

そういえば父の葬式の時も頭痛を起こしていた気がする。