でも、もう私のではないのかもしれない。

そう思ったのは私が暴れた日だった。

私が暴れているのを止めてくれたのはひなくんだった。

名言のような言葉をサラッといえるひなくんをずっとみていたら、ひなくんの言葉で泣いている隣のベッドの女の方へひなくんは
歩いていった。

ひなくんは誰にでも優しい。

でも、抱きしめているのは初めて見た。

ああ、ひなくんはこの女のことが好きなんだなって思った。

それと同時にひなくんのことなんて興味なさそうな女の態度に少しいらだった。

けれど、ひなくんに抱きしめられた時には意識していたようだった。

嫌だ、私のせいで二人がくっついてしまうなんて嫌だ。

そう思った。

でも話していると明るくて優しくて嫌なところなんて一個もなかった。

私はそれが内心イラついたけれど、それでも仲良くなりたいと思うほどその女は素晴らしい人だった。

数週間後、私はひかるさんに恋愛相談をされた。

やっとかと思う反面、まだ私の中にひなくんを好きな思いが根強く残っている。

そしてその気持ちが勝ってしまって、ひかるさんに嫌なことを言ってしまった。

言ってはならないことを言ってしまった。

ひかるさんは絶望のような顔になって誰が来てもずっと暗いままだった。