【みらいー!!ひーちゃん!!】

【ひーちゃん大丈夫?】

【僕が守るよ!】

太陽くんの手が私の腰に着た瞬間、不気味な記憶が思い出された。

誰、この男の子。

お姉ちゃんと私と仲いい子だった。

特に私と仲いい感じ…?

あと一歩で思い出せそうなところで、頭痛がした。

あの夏と同じ痛さ。

骨折よりも捻挫よりも痛い。

頭が割れそうになった。

人酔いだといわれていたこの症状は人の少ないところでも発症した。

人酔いではなかったんだ…。

そんなことを考えるのが精一杯な痛さに支えられている方へともたれかかるような感じで倒れた。

太陽くんが私に必死に呼びかけてくれる声を聴きながら、私は意識を手放した。

太陽くんはこの時死んでしまうのかと思ったって言っていたけれど、私はなぜかこの時死にたくないとかいうことは考えなかっ
た。そしてそんなこと忘れてしまっていた。

死と生の狭間から私は抜け出したような気がした。

私は今生の方へ向かっていると思う。

少なくとも向かいたいと思っているから。

思っているうちは多分向かえる。そんな風に考えられていた。