「ひかるちゃん!!」

僕に入ってきた景色は、想像していたものとは変わっていた。

ひかるちゃんが乗っていたはずの車いすは、上には空気だけが乗っている。

そして、屋上へ行く階段のドアが開いていた。

「まさか!!」


最悪なことを考えてきてしまう。

そして、僕は走りかけていたその足を止まらせた。

母の亡くなった時のことを思い出してしまう。


嫌だ。もう愛している人に僕の前でしんでほしくない。見たくない。

でも、まだ死んでいなかったら?

「……っ、よし」

僕は一つの仮説に頼って、歩を進めた。

暗闇から太陽になるんだ。あんな暗闇に二度と戻らないように。

いけ、僕。

この時のまぶしい太陽は一生忘れない。