山碕くんも、あたし達が別れたわけ、知らないのかな。 背中をポンと叩かれて、送り出される。 「じゃあね、山碕くん」 「おぅ!」 山碕くんは、さっと右手を上げ笑った。 …なんだか不思議な感じ。 ここに。 同じ時間と場所に。 彼がいる。 その彼に、あたしはさっきとは違う気持ちで向かおうとしている。 もちろん緊張が頭の中で渦巻いて、体もうまいように動いてはいない。 だけど、なんだか外の天気みたく大荒れではない、落ち着いた気持ちなんだ。