胸が、きゅうと音をたてる。 『六花…… 六花、ごめん』 恋の、甘さを思い出すと同時に…。 苦さも、思い出していた。 ステージで進行を担当する彼の声に、あたしは何度も胸の痛みを覚えて。 そして、苦しくても瞳を逸らすことなどできない、自分の気持ちを再確認していた。 外はいつしか荒れ模様となり、吹雪く風の音が館内に響いていた。