そう思ってしまう。
「じゃあね、優星!寒くなってきてるから体には気をつけてね!」
そう言って走って言ってしまった幸希先輩。
名残惜しいと感じているのはきっと…僕、だけなのだろう。
幸希先輩にはたくさんの人が周りにいるから。
家族や婚約者…それに琳斗や美琴も。
学校に行けばクラスメイトもいる。
僕には父さんと西嶋と猪里…それから幸希先輩しかいない。
誰も…失いたくないな…。
そう実感した少し肌寒くなってきた冬の日のことだった。