今思うと僕は学校で幸希先輩と会ったことがないかもしれない。
いつも昇降口で僕のことを待っていてくれる幸希先輩しか見たことなかった。
クラス…何組かな?
行ったら会えるだろうか?
僕はそう思ったらなぜかとても幸希先輩に会いたくなった。
「優星、お昼一緒食べよー」
お弁当を片手にやってきたのは猪里だ。
そしてまたその後ろには西嶋がいた。
「ごめん、今日は無理」
僕はお弁当を準備して幸希先輩のところへ行こうとする。
そんな僕に猪里と西嶋は…。
「もしかして綾野先輩のとこ?」
猪里は勘が鋭いからな……。
なんでもお見通しか。
「あー、あの可愛い先輩か」
その言葉に僕はピクリと反応した。
西嶋も幸希先輩のことを知ってるのか……!?
しかも今…可愛いって言ったよな?
「僕は幸希先輩一筋だー!」
と謎の言葉を言い残して僕は教室を飛び出した。
「え、名前で呼んでるんだ」
「めちゃ仲良しじゃん」
僕が飛び出して行った教室でそんな会話をしていたことなんて僕には知る由もない。