だけどいつも時間が経つのはあっという間だった。
もう少し遅くなればいいのに…。
「じゃあこれ」
そう言って幸希先輩は茶封筒を取り出して僕に差し出す。
いつもなら受け取るが今日の僕…いや、今日からの僕は違う。
「いいえ、もう大丈夫です」
「え?」
そう。
今日は嬉しいお知らせがあるのだ。
僕はニコッと笑って言った。
「幸希先輩のお陰で借金全額返すことができたんです!」
「そうなの?おめでとう!!」
幸希先輩はまるで自分のことのようにこれでもかというくらい喜んでくれた。
あぁ…本当に全部、貴方のお陰です。
「本当によかったね。義信パパにもおめでとうって言っといてね!」
「はい!」
幸希先輩は茶封筒をしまうことなく僕に差し出した。
「じゃあこれはそのお祝いとして受け取って」
「え?そんなの受け取れませ…」
「いいの!今まで頑張ってきたんだから!このお金で義信パパにランチとかディナーご馳走してきたら?ねっ!」