楽に痛みがなく苦しまずに死ぬことができるなんて…そんなことは思っていない。
だけどここならきっと…少し痛みがあるけどすぐにあっちに逝けるはず…。
僕は橋の上に置いてある手をぎゅっ…と固く握る。
「大丈夫…っ」
僕は橋の上に登ろうと足をかけたところで声をかけられた。
「ねぇ、君……」
まずい、見られた…っ!
僕は焦った。
だって僕は今…制服を着ているのだから。
だから学校も特定されてしまうし、地元の人なら学年などもきっと把握してしまうだろうから。
僕はバッと後ろを振り返った。
そこにいたの……。
「君…死ぬの?」
傘をさしていて顔は見えなかったが女の人だった。
カーディガンを羽織っていてフードも被っているからなおさら彼女が見えにくかった。
「ここから飛び降りなんて君、すごいね!きっと…痛くて苦しいんだろうな」
と少し微笑みながら話す彼女は橋の下を見ていた。
なんなんだ、この人?
「君には関係ないだろ……っ!!」