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私の名前……幸希は、

"幸せな希望"なんだって。

もう全然違うんだ。

私はずっと助けてほしかったんだと思う。

でも…私を縛るものがそれを許さなかった。

逃げたかった。苦しかった。

だからあの日、私は君に出会えたの。

君のお陰で私は……心から笑うことができたんだよ。

知らなかったでしょ?

ねぇ、優星。

どうか幸せになって。

君のことを私は想ってる。

綾野幸希

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幸希先輩の手紙はそれで終わった。
知らなかった。
幸希先輩が毎日暴力や暴言の日々を送っていたこと。
あの日…僕と同じで幸希先輩も死のうとしていたこと。
そして幸希先輩が僕のことを…好きでいてくれたこと。
「うっ…幸希先輩……っ」
僕は涙が止まらなかった。
幸希先輩はずっと一人で闘っていた。
綾野家の両親と学校と…そして自分自身と。
ずっと幸希先輩は一人で……っ。
どうして僕は……ちゃんと聞いてあげなかったんだ?