『はい、約束の報酬だよ』
そう言って私が彼に渡したのは茶封筒に入れた現金10万円。
彼は受け取るとすぐに鞄の中に閉まっていた。
『ありがとうございます、あやの先輩』
その言葉に私は首を振った。
『ううん、お礼を言わなきゃいけないのは私の方だよ。こちらこそありがとね、優星』
優星、私に付き合ってくれてありがとう。
君のお陰で今は楽しいよ。
私は優星に言った。
『じゃあまたね、優星』
『え?……はい、また』
また明日から君と遊べるんだ……。
楽しみだな。
私は心が軽くなったような気がした。

『私ねこの駅周辺のお店全部巡りたいの!』
私がそう言うと優星は少し驚いた顔をしていた。
でもすぐに笑った。
『楽しそうですね、あやの先輩となら』
当たり前のように一緒に行くんだなと思った。
それが私にはとても嬉しかった。
『そういえば優星はクラスメイトと仲良いの?』
私は気になっていたことを聞いてみた。
優星はすぐには答えなかった。
だから…期待してしまったんだ……。
『あまり仲良くはない…ですね』