『君…死ぬの?』
声が震えてたから実際、橋の真下を見て怖気付いたのだろうけど。
『ここから飛び降りなんて君、すごいね!きっと…痛くて苦しいんだろうな』
と私は少し微笑みながら淡々と話した。
彼は本気で死のうとはしてないはず。
きっと何か…逃げ出したかったのかな……。
さて、彼はどうでるのかな?
と思っていると……。
『君には関係ないだろ……っ!!』
彼にそう言われた瞬間、少しだけ心にグサッときた。
関係ない…か。
私はすぐにまたいつも通りニパッと笑った。
『うん、関係ない!でも私の目の前で君は死ぬの?…どうして君は死のうとしてるの?』
関係ないけど、君は優しい人だから。
だから私は君に…生きていて欲しいと思うの。
私がそう言うと彼は口を開いて…閉じて…そして雨が降る空を見上げていた。
もう夜で暗くて…空…なんてものは見えないけど彼は見つめていた。
『倒産したんだよ…うちの小さい会社が…。それで莫大な借金だけが残ったよ。父さんは…頑張って働き口を探してるけど…すぐに返せるなんて金額じゃないんだよ』