日曜日なんて来なければいいのに・・・・

 そう考えるオレって、未練がましい
 晶が狩野と出かける事を聞いた途端、そんな事を考えてしまう

 晶が楽しければそれでいいはずなのに
 晶の幸せを願う自分と、そうでない自分が交差する

 目が覚めると、日曜日の11:00だった
 11時には出かけると言っていたはずだから、もう家にはいないだろう

 「良い天気でよかったな。晶」
 部屋を出ると、母さんの部屋から言い争っている声が聞こえてきた

 「?」
 母さん達はもう出かけたはず・・?でも聞きなれた声だ
 1人は母さん、もう1人は晶

 『どうして勝手に決めちゃうの?こんな姿で行けないでしょ』

 『お母さんだって、まさかそんな姿になってるなんて思わないわよ。大丈夫、見た目分からないから』

 『本当に?でも今日は出かける気分じゃないんだけど・・』

 『もう、この子は!約束の時間が来ているのよ。ごちゃごちゃ言うんだったら、皇ちゃんに言うわよ』

 立ち聞きするつもりはなかったが、ドア越しについ2人の会話を聞いてしまっていた

 『こんな姿』とか言っているが、服装で意見が食い違っているのか?

 それに、オレに言うとか言っているが何を・・?
 色々考えを巡らせていると、部屋のドアが開き、母さんと目が合った

 「あら、いい所にいたわ。皇ちゃん手先が器用でしょ。晶ちゃんの髪をまとめてくれないかしら」

 「あ・・いや」
 返事に困っていると、腕を掴まれ部屋の中に引きずりこまれた

 「じゃぁ、任せたわよ。お母さんも仕度があるから」
 一方的に言われ、言い返す間もなく、母さんは視界から消えていった

 「任せたって・・」
 振り向くと、薄いピンクのキャミソールワんピの上に、白地のカーデガンを羽織った晶が鏡台の前にちょこんと座っていた

 あぁ、何時間ぶりに見る晶は、なんて可愛いんだろう

 「こ・・皇兄!」
 晶は鏡越しにオレと目が合うと、すぐに目線を反らしうつむいた

 なんだ、この反応?
 多少の違和感を持ちながら、晶の背丈にあわせ後ろで膝をついた

 「母さんから髪をまとめろって言われたけど、どうする?」

 「あ・・うん」

 晶はうつむいたまま、顔を上げようとしない。目線も鏡の自分を見ている訳でもなく、鏡台の下に注がれていた