生徒会室ってこんなに広いんだ。ぐるりと目線を一周してみた

 つい立の向こうには、ミニキッチンもある
 この広いテーブルについて会議とかしているんだろうなぁ

 皇兄はいつも何処に座っているのだろう?

 「ほら、『もも』あーん、しいや」
 私が顔を冷やす為、両手が塞がっているのをいい事に、沢村(兄)こと生徒会長はティスプーンでひまわりの種のお菓子を掬って私に食べさせていた

 その事は別に構わないけど、なんで『もも』て呼ばれているんだろう?

 「んー。よしよし」

 食べた後は必ず頭を撫でられるし、万遍の笑顔なんだなこれが

 「この髪、きれいな栗色やなぁ」

 「これは、お父さんからの遺伝なんです」
 よく、染めているんじゃないかって疑われるけど、正真正銘地毛色なのだ

 皇兄はお母さんの遺伝が強いせいか、艶やかな漆黒の髪色。ゆえに私たちが兄妹だと気付かれないのも、この髪の色も理由の一つだと思う

 「だが、瞳はオニキスのように大きい黒や。とても芯が強い・・俺あんたの瞳どこかで見たことがあるような気が・・」

 「まぁ・・気のせいじゃぁ」

 黒い瞳だけは唯一皇兄と似ていると言われている
 会長は、いつも皇兄と顔を合わせているわけで・・・

 
 カチャッ
 生徒会室の内扉が開くと、沢村双葉が両手に書類を抱えて出てきた

 「ちょっと、オニイチャンなんでこの女がここにいるのよ」

 「お前がつけた傷を手当したんや。ついでにお前もしてやろうか?」

 「結構よ。私はちゃんと皇紀先輩にしてもらったもん」
 
 え!皇兄に手当てを・・・?

 「私、思い出したの。あなた同じ1年の『にわ』とか言う女でしょ。殴られた時はムカついたけど、皇紀先輩に手当てしてもらえたから、まぁ許してあげるわ。あっ、私コピーしに行かないと、皇紀先輩に頼まれたのよねぇ」

 パタパタと彼女は走って行った

 「はー。相変わらず単純な奴やなぁ」
 
 「あの・・あの部屋は?」

 「会長室や。今は、こーちゃんに貸してるけど」

 「こーちゃんて?」
 まさか・・まさか・・

 「桜庭皇紀でこーちゃんや。あんたも聞いた事があるやろ。会うか?」

 「け・・結構です。さっさよなら」

 急いで立上がると、生徒会室を転がるように後にした