「皇紀先輩の好きな女の子のタイプは?好きな食べ物は?」

 あーうるさい。さっきからくだらない質問ばっかり横から言っているのは沢村会長の妹。沢村双葉
 
 突然、生徒会室に入ってきかと思うと、
 『こーちゃん。双葉を側に置いてやってや、コピーでも何でもさせてええから。俺、双葉に頼まれれると断われないんや』
 
 会長があまりにも頼むから渋々承諾してしまったが、女特有の高い声が頭に響いて考えがまとまらない

 「あんた、もう帰ったら?22時過ぎてるし」

 「やだ、双葉って呼んでください」

 「あ・そ。オレは帰るけど」

 さっさと鞄に資料をつめて、生徒会室を出た
 
 月明かりが窓から差し込んで、廊下を照らしていた

 「待ってくださいよー」
 沢村(妹)が駆けてくると、オレの肘に腕を滑り込ました

 「触るな」
 
 「もう、冷たいな。でもつれない所も好き」

 「勝手に言ってろ」

 まったく、会長はさっさと帰っていくし、夜遅くにオレ(男)と二人っきりにさせて、心配じゃないのか?
 もちろんオレは、この女をどうこうするつもりはない

 晶が夜遅くまで帰ってこなかったら、オレなら心配でいたたまれない


 「じゃぁ、あんたそっちだろ」

 オレと会長の家は校門の前で別々の道をたどる

 「じゃぁな」

 「明日も来ますからねー」

 沢村(妹)は元気に手を振って帰って行く

 「・・・」
 オレは月を仰いだ。

 「は・・まったく」
 オレは沢村(妹)の姿を追いかけた。興味がないとは言え、女だ。
 暗闇の中一人で帰す訳にはいかないだろ

 「あんたをタクシーが拾える場所まで送ってやる」

 「ホント。うれしい」

 「だから、ひっつくなっ」
 この後、タクシーを拾うまでオレの攻防は続いた



 音を立てないように、家の玄関の鍵を開ける
 23:00予定より遅くなったな
 流石に、晶も母さんも眠ったらしく、家は真っ暗だった

 「!なんだ?この匂い」
 玄関に入ると味噌の匂い、でも味噌汁じゃないよな?

 その匂いは台所に入ると、いっそう強くなった

 「母さん何を作ったんだ?」
 食欲はなかったが、何の匂いか気になる

 レンジの前の鍋を開ける
 「おっ、サバの味噌煮♪」

 鍋には山盛りのサバの味噌煮が入っていた