オレは晶の身長にあわせて、少し膝を落とす

左手で腰を抱き寄せ、シャープなあごに手を伸ばし

親指で晶の柔らかい唇をなぞった

「う・・ん・・」

晶の甘い声が、ますますオレを駆り立てる

「好きだ・・」
晶の顔を両手で優しく抱えながら、上唇からそっと口付ける

クチュ・・クチュ・・心地良い音をわざと立てながら唇をやさしく噛んでみる

「んん!」

晶に息継ぎをさせないまま、舌を絡ませる

クチュ、クチュ・・

あきら・・好きだよ。晶


ガクンッ

突然、晶の身体がうなだれ、崩れ落ちて行った

「あ・・き」

『あきら』と叫ぼうとして、一瞬止まる
 
オレの腕の中に居るのは、晶じゃない!

「あーぁ。綾香も皇紀に落とされたな」

オレは、五十嵐の声に現実に引き戻される
 
腕の中に居るのは、晶には似ても似つかない女だった

女をベンチに置くと、手の甲でキスの感覚を拭い去る

「は・・・。馬鹿みてぇ」

五十嵐とこの女の挑発に乗った自分に対してと
 
こんな女に晶を重ねるなんて、馬鹿もいいところだ

「これでいいだろ。帰る」

「この続きやらねえの?皇紀」

「やらねぇよ」

踵を返し公園の出口に向かった


もし、もしも・・キスの相手が晶だったら・・
今頃落ちていたのは、オレの方だったろうな

そう考える自分が少し悲しかった