「ねぇ潤、紹介してよ」

五十嵐の右隣にいた女が甘い声を出し、上目遣いでオレの方を見ていた
男に自分をアピールしている目

五十嵐が横にいるのに、よくやるよ この女

「こいつクラスメイトで副会長の桜庭皇紀。頭も良いくせにこのルックス・・」

人の事を親指で指しながら五十嵐は続けた

「キスもセックスのテクニックも最高で、落ちない女はいないっていう罪深い奴」

何言ってんだか・・こいつは・・

ジュッと煙草を灰皿に押しつぶす

「失礼、帰る」

ベンチから立ち上がろうとするオレの胸に 『この女』 が腕を絡ませてきた

「・・・」

何だ・・この女・・
オレは無表情で女を見る

「素敵。綾香も皇紀くんに落とされてみたい」
 
女の腕の力が強くなった

もう少し、女の趣味考えたほうがいいんじゃねぇ?
五十嵐を目で睨む

当の五十嵐は、もう一人の女とキスしていた

「ねぇ、潤くん達もしてるんだし、あたし達も・・」
斜め45度の体制で女は顔をあげた

「しちゃえよ。皇紀」
キスを終えた五十嵐が煙草に火をつけるところだった

「どうせ特定の女いないんだろ」

ドクン

五十嵐の言葉にオレの鼓動が高鳴る

特定の女・・だと?


オレがどんなに妹の晶が好きで、好きで
好きすぎて狂いそうになっているのに・・・・

特定の女がいないなんて言わせない

「して・・やるよキス」

オレは軽く目を閉じる

そう・・。オレの目の前には晶がいる