ガラッと生物室のドアが開いたので、クラスの生徒が一斉にその方向を見た

入ってきたのは、国語の先生と同じ制服を着た男女15人

一つ違うとしたら、タイピンが緑色だと言う事だろうか

「はい一年生、席に着いて」

先生は、パンパンと手を叩いた。私達は戸惑いながらも席に着く

「今日は生物の先生がお休みなので、特別講師として、2年の先輩に来てもらいました」

な・・なんですと?私達1年生はざわめき立った

確かに、緑のタイピンは2年生になるけど

「生物の先生からは、今日は顕微鏡の使い方とスギナなどの胞子観察をする予定だと聞いているので、先輩方に良く教わるようにね」

教室を見渡しながら先生は言うと、2年生に向かって

「あとはよろしくね。先生は後ろで見てるから」

と、さっさと一番後ろの席に引っ込んで行った

私達は8テーブル5人つづ分かれて座っており、2年生は男女1人づつ各テーブルについた

私のテーブルには優しそうな女の先輩1人来てくれた

「さぁ。顕微鏡の準備しましょう。あと、もう1人の先輩が来る前に。」

「はーい」

女の先輩のせいか、男子生徒がうれしそうに見える

先輩達は手際良く顕微鏡のセットを始めた

一つ年上というだけで、すごく大人っぽく見える

じゃなくて、今は顕微鏡の組立てを見ていないと。先輩は一つ一つ部品の名前を説明しながら組み立てて行った

顕微鏡が全テーブルに用意された時、教室に白衣を着た男の人が入ってきて教壇に立った

なんだ先生いるじゃないの

白衣だけで、先生だと判断した私はゆっくり顔を上げた

「な・・」

ガタンッと体制を崩し、椅子から落ちてしまった

「だ・・大丈夫?」

女の先輩が私を立たせて、スカートについた埃を払ってくれる

「平気です。ありがとうございます」

なんで・・なんで皇兄が教壇に立ってるの!!

制服の上に白衣をまとい、教壇机の上に置いた教科書をパラパラとめくっている

「はい。1年、教壇に注目。今日は桜庭君に特別講師をしてもらいます」

と先生の言葉に皆教壇に視線を注いだ

う・・うそでしょう・・・

皇兄はその視線にまったく気にする様子もなく、顕微鏡で観察するスギナを配るように支持していた