「うるさい!! 黙れよ」
 
晶の口から別の男の名前が出た時、オレの中でプツンと何かが切れた

そしてオレの方だけを見てほしいという衝動にかられ、晶を立たせ、壁に押し付る

「いきなり何するの?」

「黙れって言ってるだろ」

晶の両手首を掴み、身動きを支配する

晶の困惑した表情がオレンジ色のライトで色っぽく見える

その肌に触れたい気持ちに誘われるまま、晶に近づいて行った

そんなオレを見ないように晶は目を閉じ、うつむいた

それでオレから逃げられると思うの?

「何?オレが怖いわけ?」

晶の耳元で低くつぶやくと、ビクッと晶の体が震えた

「い・・嫌。耳元で話さないで」

小さく震えた声が、ますますオレを駆り立てる

「余計な事は言わなくていいから、オレの方を見ろよ」

さっきより低い声で、晶の耳元で囁いた

晶の弱点が耳元だという事は十分に承知している

その証拠に、晶の首筋から腕にかけて鳥肌が立っているのが見えた

晶は必死で首を横に振っている。その嫌な感覚を消すためだろう

「ふーん、オレの言うこと聞けないんだ」

聞き分けの出来ない子をどう従わせる?

オレは、右手で晶の両手首を持ち直し、左手で晶の右耳の髪をかき上げた

「や・・」

ペロッと晶のやわらかい耳たぶを舐めて、軽く噛んだ

クチュ、クチュとわざと音を立ててみる

「あ・・ぁぁ」

オレの行為に晶は甘くカワイイ声を出した

抑えている狩猟本能が挑発される

もっと聞きたい・・オレだけ感じている晶の声

オレは、耳たぶから上を攻めようとした

「あ・・嫌!やめて!」

晶はオレの腕を振り払い、束縛から逃れれると壁に寄りかかりながら座り込んだ

「ひどいよ!な・・なんでこんな事するの!!」

上目遣いでオレを睨みながら晶は言った

「ムカついたから」
 
他の男の事をベラベラと話すお前に

「むかつく・・?私に対してって事?」

首をかしげる晶

「他に誰がいる?お前って本当に無防備だよな。もう少し危機感を養ったほうがいいんじゃないの」

晶の顔は?になっている

「ピアノと言うが、狩野とか言ったっけ?男はな、表面上は優しくても、裏で何を考えているか分からないって事」

たった今、お前の目の前にいるだろ?

狩野の名前など出したくなかった。自分自身、あの男に嫉妬している気分になる

「狩野先輩はそんな事ないよ」

少しも疑問に思わず、すぐにそう答える晶にふつふつと苛立ちを覚えた