「あっ!私、思い出した」
 
 作者と皇紀が緊迫?の中、ようやく質問の答えが出たらしき晶がパチンと手を叩いた

 この子は、なんて場を読まない素直な子なのだろう

 「私が苦しかったのはね、皇兄に告白した時に『お前なんだ大嫌いだ。顔も見たくない』って言われた時と、あとね、双葉さんに間違われたてキスされた時とか、それとね、そうそう」

 晶が明るく振舞う中、皇紀の表情がどんどん青くなっていった

 「晶・・晶・・もうそれ以上、喋るな」
 終いには、止まらない晶の口を押え、皇紀は自分の方に晶を向かせた

 「ん!んー? 皇兄、どうしたの?」

 「もう2度とあんな事はしないから、お前も忘れてくれ。その分これからちゃんと大事にするから。出来るか?」

 晶の髪を優しく撫でながら、皇紀は晶に懇願した

 「う・・ん。わかった」

 「サンキュ」
 うなづく晶の額に皇紀のキスが落とされる

 はぁ。作者が前にいるっていうのに・・よくもまぁ・・

 でも、この皇紀を困らせるとは、この中で1番の強者は晶かもしれない

 「で、他にまだあるのか?ないならオレたち、帰りたいんだけど」

 額にキスされ、ポーっとなっている晶の横で、皇紀が作者に振り返った

 「じゃぁ2つだけ。皇紀、あんた会った時から不満そうだけど、何か言いたい事あるんじゃない?こうして会えるのも最後だし、何でも聞くけど」

 このまま別れたら、皇紀にも作者にもわだかまりが残ってしまう

 作者の言葉に皇紀は晶を席から立たせ、財布を手渡した

 「晶、となりのフロアでケーキバイキングをやっているから、行って来いよ」

 「ホント♪。行ってくる」
 晶は財布を胸に抱え、トコトコと駆けて行く

 晶がいると出来ない話・・?
 今までは晶が隣にいたから、猫をかぶっていた?

 まずい・・。話を聞くなんて言わなければよかった

 皇紀はテーブルに両肘をつき、顔の前で指を組んだ

 「正直、あんたには感謝してる」

 へ?思ってもみない皇紀の言葉に作者は耳を疑った

 「最終的には、晶と両想いにしてくれたしな」

 いえいえ、そんな。作者の方こそ2人はよくやってくれたと、感謝してます