「はぁ・・」
 あいつ、何時まで寝ているんだか・・

 腕時計を見ながら、ため息をつく

 晶は今日、一週間ぶりに学校に登校するのだが・・未だ起きず・・

 病気で5日間も眠っていたのに、まだ眠るか?あいつは

 起こしてやれば良かったか?
 でも、こうして晶を待つ時間も悪くない

 家の門の横の塀に寄り掛かりながら、フッと笑う

 そして、ドタドタと家の中から階段を駆け下りる音が外まで響いてきた

 「オーロラ姫のお目覚めだな」

 もう少し静かに起きれないのかあいつ?

 今頃、髪を振り乱して、顔を洗っているに違いない

 「そろそろ来るな」

 オレの読み通り、玄関のドアが勢いよく開けられた

 来た、来た

 晶は家の門から姿を現すと

 「皇兄のうそつき!!」
 と叫び出した

 「だーれが、嘘つきだって?え?」

 オレは、低い声でちょっとムッとした様に言う

 「こっ・・皇兄!」
 晶の髪がふわりと揺れた
 襟足にかかる髪の先は、寝ぐせで少し跳ねていた

 「言ってみろよ。晶」
 わざと大きな音を立てて読んでいた本を閉じると、オレの方を見ない晶の頭を本の表紙の方で、ポンと叩いた

 「い・いや・・その・・『う・・そら(空)につき(月)が・・』を縮小してみたの」
 
 晶は手をもじもじさせながら、咄嗟に考えた言い訳をつぶやく

 空に月ねぇ。そもそも出てないだろ
 ま、いいか。こいつのボケは今に始まった事ではなし、カワイイから許す

 「そっか。じゃぁ、行くぞ」

 晶と並んで歩き出した
 久しぶりだな、晶と一緒に学校に行くのは。まさかこんな日が来るとはな

 学校に着いたら、寝ぐせをなおしてやないと。晶はきっと気付いていないな

 「ん?うーむ・・」
 突然晶が立ち止まり、唸りだした

 「どうした?晶」

 「えーとね。皇兄と一緒に登校するの、初めてじゃないのに、何か違った感じがするの」

 晶は首をひねりながら、歩き出した。そして、急に立ち止まる

 オレは晶に合わせて歩き、立ち止まった

 「あっ!わかった。皇兄が横にいるんだ」
 晶はパチンと手を叩く

 「さっきから横にいるだろ?」

 誤魔化すように言ってみたが、鈍い晶でも気付いたか?

 オレが晶の歩幅に合わせているという事に