『妹』ではなく・・『女の子』として好き・・

 皇兄のその言葉に、私は皇兄に預けてた足を自分の元に戻すと、膝を胸に抱え込み、そこに顔をうずめた

 皇兄・・私を・・

 目を閉じると、瞼の中に3人の私が現れた


 1人目は11歳の私
 大きな栗の木の下で、膝を抱えてうずくまってる。
 遠足で、木苺に気を取られ、ひとり列を離れて、迷子になった。そんな私を皇兄は先生と一緒に探し出してくれた。全身を汗だくになって


 2人目は13歳の私
 両膝に大きなすり傷をつけて、引きずる様に歩いている。
 校外マラソン大会で、いつもの如く転んでしまって歩くのもままらない状態だった。ふと見ると、皇兄が立っていて、私の傷を応急手当すると、背負ってゴールまで連れて行ってくれた。
 皇兄はトップでゴールの直前で、急に引き返したと後で聞いた


 3人目は15歳の私
 私の周りはガラスの破片だらけ。
 高校の入学式にピカピカに磨かれた正面玄関のガラス扉に気付かずにおでこから突進して、見事にガラスが砕け散った。呆然と立ち尽くす私を皇兄は抱きかかえてその場から離すと、誰かの悪戯で石が当たった事にしてくれて、何の責めもなく私は入学式を迎える事ができた


 そして・・現在の私がある・・
 何も変わっていない・・全然成長していない私・・

 「皇兄・・が私なんかを好きになるはずないよ」

 好きになってもらえる要素が何もない

 「なぜ、そう思う?」

 「だって、私・・バカだし、ドジだし・・いつも先を見ないで行動して、いつも皇兄に迷惑ばかりかけて、他にも悪いところいっぱいある。こんな私を皇兄が好きになってくれるはずない」

 さっき、現れた昔の私は、皇兄に迷惑をかけたワースト3に入る
 
 この他にも、いっぱい・・いっぱい迷惑かけてる

 どこから、そんな私を皇兄が好きになってくれると思えるの?

 「オレは、バカで、ドジなお前?に、迷惑ばかりかけられているらしいけど、悪い所と同じ数だけ、良い所も知ってる。そんな事承知の上で、お前を好きになった」

 私に・・良い所なんてないのに・・

 皇兄は・・わかってないよ。好きな人に迷惑をかけてる心の重荷

 常にパーフェクトの皇兄には・・きっと一生わからない