妹として1番かぁ。それもいいかもしれない

 皇兄の『恋人』には誰でもなれるけど、『妹』にはなりたくてもなれないもの

 思えば、私はすごい地位にいるのだ

 もう少しで、その『妹』の地位を失くしてしまう所だった

 そう、考えたら元気が出てきた

 もう、大丈夫。家に帰っても、きっと大丈夫

 家・・と言えば、せっかく皇兄に足を拭いてもらったけど、私どうやって家に帰ればいいんだろう?

 結局・・靴はない訳で・・

 皇兄、その事気付いてる?

 もしかして、おんぶとかしてもらえる?

 私がひとり、ほくそ笑んでる中、皇兄は私の足を持ったまま、違う方向に視線を送っていた

 「お兄ちゃん?」

 その方向に首を掲げ、皇兄を呼んでみた

 「晶・・」

 私の呼び声に、皇兄は唇だけで呟いた

 「なぁに?」

 おんぶしてもらおうなんて、おこがましい考えはしてないよ
 私は、歩いて帰れるし・・
 皇兄が一緒に帰ってくれるなら・・

 「さっきの・・オレの・・」

 言葉が止まった後、皇兄は堅く口を結び、軽く目を閉じて数秒間沈黙を置いて、私を真っ直ぐに見た

 この表情・・これはいつも、生徒会の代表でステージにあがり全校生徒に話をし始める前にするもの

 今から、重要な話をすると言う緊張感が伝わって、全校生徒は皇兄に注目していたのを思い出した

 どうしたというのだろう・・?

 こんな表情を私に見せるなんて



 「晶、さっきのオレの告白は・・お前を思う気持ちは、本当なんだ」

 皇兄の声が、余りにも静かすぎて、私は理解するのに時間がかかった

 「皇・・」
 ようやく理解できた時、皇兄は私の隣に座り、次の言葉を私に投げかけていた

 「オレの中でのお前は、いつも『妹』ではなく、いつもひとりの『女の子』だった。お前が神社でキスしてくれる前から好きだった」

 それは子守唄のように、優しい語り口調だった

 「これが、オレの『好き』の真実。だから、聞かせてお前の『好き』の意味を。オレの『好き』と、どう違うのか?」

 皇・・にぃ・・?

 私・・私の事、『女の子』として・・好き?

 まさか・・まさか・・そんな

 どうして・・私を惑わすような事を、そんな真剣な顔で言うの?

 せっかく・・妹に戻ろうと・・してるのに