「これが、オレの『好き』の真実。だから、聞かせてお前の『好き』の意味を。オレの『好き』と、どう違うのか?」

 それが、どんな答えだとしても、オレは逃げない
 晶の足がオレの手から離れ、晶は膝を抱え直すと、そこに顔をうずめた

 「皇兄・・が私なんかを好きになるはずないよ」
 晶はゆっくりと、途切れ途切れながらも、答えを出し始めた

 「なぜ、そう思う?」

 「だって、私・・バカだし、ドジだし・・いつも先を見ないで行動して、いつも皇兄に迷惑ばかりかけて、他にも悪い所いっぱいある。こんな私を皇兄が好きになってくれるはずない」

 こいつは・・最初から、あてはめる方程式を間違えてる

 昔から、そう思い込んだら一直線に進む奴だから

 「オレは、バカで、ドジなお前?に、迷惑ばかりかけられてるらしいけど、悪い所と同じ数だけ、良い所も知ってる。そんな事承知の上で、お前を好きになった」

 「それでも、皇兄にはもっとふさわしい人がいるもん」

 何、言ってんだか・・こいつは
 膝から、顔をあげない晶の頭を撫でる

 「例えば?」

 「綺麗で、頭の良い人、運動神経も抜群で、皇兄の横に立っても見劣りしない人」

 どうして、こいつは自分の魅力に気付かないのだろう?

 きっと、髪色のせいでずっと、周りから比較され続けていたから、いつのまにか自分の良さに気付かなくなってしまったんだな
 
 確かに、そんな女、星の数ほどいるかもしれないが・・オレの中ではお前しか見えてないと、どう言えば伝わるのか

 「顔・・見せて」
 晶のサラサラの髪を、摘んで引っ張ってみた

 その刺激で、瞳をうさぎの様に真っ赤に染めた晶が顔をあげた

 「だから・・何のとりえもない私なんて、皇兄には絶対にふさわしくないの」

 晶の答えが徐々に、見えてきた

 「何のとりえもないなんて、自分で言うな。お前には、お前の良さがあってそれに気付いていないだけ。オレの方が、お前にふさわしくないかもしれない」

 晶に男の存在が現れる度に、嫉妬はするし、自分の事しか考えない自己中主義

 相手の気持ちをちゃんと考える、純粋な晶の前では、オレの方が見劣りしてしまう

 「それは違うよ!!皇兄は・・皇兄は・・ホントにステキな男(ひと)で・・だから、私・・」

 晶は顔を両手で覆った