出口のドアを開け、外の様子をうかがった

 雨は、落ち着いた小雨になっていた

 雨が運んでくれた、つかの間の時間
 でも、晶にはっきり言えて、よかったのかもしれない
 血の繋がった大事な妹だと

 「晶、もうすぐ雨が止みそうだ。だから、お前も準備を・・」

 ゆっくりとオレは晶に振り向いた

 「・・!」
 オレの心臓が、鷲づかみにされ、止まりそうになった

 晶が、ショーツ一枚の全裸で、胸を両手で覆い隠していたからだ

 「皇兄・・私」
 胸を覆う手をも、外そうとしている

 瞬間・オレは晶に向かって駆け寄っていた。濡れたTシャツを脱ぎ捨て、晶の柔らかい身体を抱きしめる

 「お前、何やってんだ」

 「だって・・皇兄・・悪戯だって言うから・・私、そんな事してないのに」

 涙を流し、晶はオレに訴えた

 「わかった。わかったから、ごめんな」

 晶を片手で支え、一緒に床にしゃがみ込んだ
 少しでも、力を緩めると、晶の上半身がオレの視界に入ってくる

 「こぅ・・にぃ」

 「ん?あったかいか?」

 「うん。すごく温かい」

 晶は満足そうにうなづき、オレの肩に顔を預けた

 何が、晶をここまでさせたのだろう?

 晶の後ろには、さっき纏っていた白衣が脱ぎ捨ててある

 手を伸ばせば、掴んで、晶に着せる事も簡単だった

 だが・・晶のキメ細かな肌の感触、胸の脹らみが直接オレの肌にあたって・・それがとても心地よくて

 夢にまでみた晶の裸を、今抱きしめている

 「晶・・苦しくないか?」

 「丁度いいよ」

 「寒くないか?」

 「あったかくて、すごく幸せ。皇兄は寒くない?」

 自分が風邪を引きかけてると言うのに、オレの心配をしてくれる

 「大丈夫。お前は自分の心配だけしてろ」

 前は抱きしめて、温められるが、晶の背中はがら空きだった

 オレは手を伸ばし、白衣を掴んだ

 「や・・もう少し、こうしていたい」
 晶は、白衣を着させられると勘違いし、背中に回した腕の力を強めた

 「お前の背中に羽織るだけだ。前と後ろと一緒には温められないだろ」

 晶の背中に、白衣を羽織らせる

 「雨が止むまでだ。止んだら・・帰るぞ」

 「はい」

 屋根にあたる雨の音に耳を澄ます

 このまま・・ずっと止まないでほしいと願いながら