「私のこと好き?」

 様子のおかしい晶に、突然聞かれた

 オレは「えっ!!」と声をあげ、晶の顔を見て、すぐに視線を床に落とした

 好き・・そんな簡単な言葉では言い表せないくらい、晶が好きだ

 もし、心を見せる事ができるなら、今すぐ、お前に見せてやりたい

 オレが、お前をどんなに好きかと言う事を・・

 「あ・・そうだよね。私、皇兄に大嫌いって言われていたのに何を今更聞いているんだろう」

 晶は、オレに出した質問に、自分で答えを出していた

 大嫌い・・そう、オレは晶と一緒にいるのが辛くて、『お前なんか大嫌いだ』と突き放したのだ

 晶の様子がおかしいのは、このせいか
 オレはまた、お前の心に負担をかけてたんだな

 「足・・ありがとう」
 オレが手当てした足をそっと持ち上げ、晶はオレの元から立ち上がった

 「晶・・オレは・・」
 早く、晶の不安を取り除いてやらないと・・

 「お前が生まれて15年間、本気で嫌いだと思ったことはないよ」

 15年間・・1歳しか違わないお前と、一緒にいて、だんだん女らしくなっていくお前を・・ずっと見てきた

 「ほ・・本当?」
 晶は、不安そうな声と、目でオレに尋ねてきた

 「あぁ、本当だ」

 晶にこんな不安な顔をさせて、オレは何をやっているんだ?

 前に言われた。晶はオレの言葉に過剰反応してしまうと・・それが、生理痛や蕁麻疹の引き金になると

 わかってたはずなのに・・オレはまた、こいつを傷つけた

 「皇兄・・私・・皇兄の事・・」
 
 今から言う言葉は、絶対口にしたくなかった

 したくない・・だが・・

 「だって、お前は一緒に暮らしてきたオレの妹だろ、今更、好きも嫌いもない」

 晶が何かを言いたそうにしていたが、あえて聞かず、オレは続けた

 「相変わらず鈍いな。どこの世の中に、血・・」

 息が止まる。口に出したくない・・晶には言いたくない

 「血の繋がった妹を本気で嫌いになる兄がいると思うか?ちょっと考えればわかるだろ」

 いつもと変わらない口調で、淡々と言った

 血が繋がった・・そんなのわかりきっている
 晶には・・自分の言葉で言いたくなかった

 でも、ちゃんと妹として見ている事を、嫌ってはないと言う事を伝えるには、今のオレにはこの言葉しか思いつかなかった