最後のあの雨がダメ押しだった

 晶の髪から雫が、顔をつたり、首をつたり、胸の隙間へと流れて行く

 そして、白のワンピースが仇となっている

 雨に濡れたワンピースは、晶の身体にピタリと貼り付き、背中の骨格、腰のライン、胸の膨らみが露わとなっていた

 雨は白い肌に浸透し、身体の熱で蒸発して、小屋の中に晶の香りが立ち込める

 肩からする息と、雨に濡れた潤んだ瞳はオレの欲望を駆り立てる

 ここにいる晶は、妹ではなく、大人の女を感じさせた

 やば・・い
 頭の中で、危険信号が鳴ってる
 このまま、一緒にいたらオレは晶を犯してしまう

 それだけは、どうしても避けたい
 オレは、晶から離れると、小屋の中を見回した

 何か、身体を拭くものがあればいいのだが、タオルか何か・・

 小屋の中はいたって簡易で、6畳の畳と押入れが設置されているだけだった。あの押入れの中にもしかしたら?

 「!」
 オレの手が冷たく強ばった何かに掴まれた

 「皇兄・・」
 入口にいた筈の晶が、いつの間にか隣にいて、オレの手を握っていた

 「うぁっ!」
 咄嗟にその手を払いのけてしまった。触れられたら歯止めが利かなくなる

 「皇兄、かえるなんだけど」

 か・・かえる!あぁ、かえるのガラス細工か。そういえばさっき後で見ると約束したな

 晶の指が開かれ、手の平にかえるとおたまじゃくしのガラス細工が乗せられていた

 早く、身体を拭くものを探したいのだが、また、暴れられて雨の中に飛び出されたら困る

 「左後ろ足欠けちゃった。大丈夫かな?治る?」

 「欠けた破片があれば、接着剤で直すことが出来る。大丈夫だ」
 
 オレの返事に晶は「よかった」と笑顔になった

 「なに・・か・身体を拭けるものを探すから、そこで座って待っててくれるか?」

 「うん。わかった」

 素直にうなづき、畳の上に座った晶を見て、胸を撫で下ろす
 
 晶の様子がおかしい
 今まで、過去におかしいと思ったことが幾つかあった

 双葉とケンカしてオレに表情を見せようとしなかった時とオレのキスシーンの画像を見た直後

 今度はいったい、何があったんだ?
 過去の原因は、すべてオレのせいだった

 今回も・・オレの・・?
 神殿で別れてからのほんの1時間の間、あいつに何があった?