晶、会長の言っていたことは本当なのか?

会長から真実を聞くより、晶から聞きたい

 オレは、1歩、1歩、晶へと近付いていった

 あの画像が発覚した日は、晶と夕飯を約束していた日だ

 晶の帰りが遅くて、探しに行った途中であいつを見つけた

 そう、公園の方向から晶は歩いてきた

 晶の様子がおかしかったのは、オレの・・別の女とのキスシーンを見たからか。そして、あの・・画像を消してもらう為に、頭を下げて、キスを・・


 『私知らなくて、見るつもりもなかったのに』

 晶は、そう言いながら、何回も『ごめんなさい』とオレに謝っていた

 『ダメな妹でごめんね』と

 あの、言葉の意味は・・

 後ろから、晶のつむじをそっと見つめた

 オレは知らない所で、晶に守られていたのか?

 「はぁ」
 晶は深くため息をついて、思いつきで飴を取り始めた

 昔が・・なつかしい
 祭りにくると、決まって晶はどんぐり飴を買う
 
 小さな口の中に大きな飴を含ませ、プクッと飴の形が頬に浮き出てあどけない表情
 
 懐かしさで、ふらふらと晶の隣にしゃがみ込んで、籠を覗き込んだ
 
 「これはだめ、これもやめておけ」

 晶の選んだ飴が、すべて粗目の砂糖の付いたもので勝手に飴を元に戻す

 「あぁ、折角選んだのに・・あっ」
 晶は隣にオレがいる事にようやく気付き、言葉を止めた

 「これもだめだな」
 
 「そ・・それは・・」
 水色のソーダ味の飴を持ったとき、晶が小さく懇願した

 「それ、好きなのに」
 
 ソーダ味は晶の好物

 「じゃぁ、残しておくか」
 オレの言葉に、晶は頬を染め、目を細める

 「でも、他の飴は、粗目の砂糖がついていないものを選ぶからな」

 オレの言葉に晶は首を傾けた
 こいつは、きっとあの事を忘れているのだろう

 昔、どんぐり飴の舐めすぎで、舌を傷つけて、しばらくご飯を食べるにも苦労していた事を

 晶が考えている間に、飴を選ぶと、袋に詰めてもらい会計を済ませた

 「また、舐めすぎるなよ」
 
 「うん。ありがと。また舌を傷つけたらやだもんね」
 どうやら、思い出したみたいだな

 晶はペロッと舌を出して、ハッと息を呑み口元に手を当てた

 何だ・・今の表情?

 「私、会長さん達探してくる」
 
 「待て!」
 駆け出そうとする晶の腕をオレは掴んでいた