「五十嵐先輩、聞いてもいいですか?」
 
 「何?俺の答えれる範囲ならでならいいよ」

 「皇兄、私の事何か言ってませんでしたか?」

 聞いてみたい。皇兄の本心を
 枕の下にあった、私の写真の意味を

 「何で、そんな事聞くの?」
 
 何でって・・
 ポケットの中のパスケースを取出した

 「これ、皇兄の枕の下で見つけてしまって」

 私、皇兄に嫌われているんだよね。そのはずなのに、余計な期待をしてしまう

 「カワイイ。よく撮れてるじゃん。へぇ、これが枕の下にねぇ」
 五十嵐先輩はニッコリ笑う

 「変・・ですよね。普通、嫌いな妹の写真なんてそんな所に置かないですよね」
 もしかして、私・・嫌われてないの・・・?
 そんな、身勝手な想像をしてしまう

 「んー。俺にはわからないけど、答えは明日わかるんじゃないかな」

 「明日・・ですか」

 「明日まで待てない?」

 「・・・」
 歩きながら、公園に差し掛かかった時思わず立ち止まってしまった

 この公園、皇兄が知らない女の人とキスしていた場所
 
 「どうしたの?」

 「皇兄、好きな人いるんですよね」
 愛しく、包み込むように優しいキスを皇兄はしていた
 携帯画面からしか見ていないけど、その女(ひと)の事を大事に思っている事ぐらい私にもわかる

 「あぁ、いるよ。今は片思いだけどね」

 「片思い?でも、皇兄ここでその女(ひと)とキスしていましたよ」

 「え?え?だって、それは絶対あり得ない。ここで皇紀がキス?」
 
 数秒間、沈黙が続き、五十嵐先輩はポンと手を打った

 「もしかして、綾香とのキスの事?晶チャン、見ちゃったの?」
 
 あやか・・

 「直接ではなくて、携帯の動画で見てしまって」

 「沢村双葉に写されていたっていう例のやつか。そーか、あれ見ちゃったんだ」

 その、綾香さんとかいう人が皇兄の好きな人?

 「えーとね。晶チャン」
 五十嵐先輩は、私の肩に両手を置いて私の目線に屈みこんだ

 「キスしていたのは事実だし、言い訳するつもりもないけど、ただ・・皇紀の好きな人は、別にいる。それも明日はっきりすると思うよ」

 「明日って、特別な日なんですね」

 「そうだね。お互いの・・ね」

 この時、五十嵐先輩のお互いという言葉は、皇兄と五十嵐先輩2人の事を指していると私は思っていた