確かに、心臓のドキドキ感。お風呂上りの様な赤みを浴びた表情

 蕁麻疹を除けば、私と同じ症状

 「で、伝染病なんでしょうか?」

 「ちゃうよ」

 違う?
 私は首をかしげた

 「オレは、『もも』を見るとこうなるんやけど」
 
 パチパチ。私は瞬きをした
 それって、それって?

 「これは病気やのうて、恋心が原因なんだと、気付き」
 
 こ・・い

 「あー。池に泳いでいる」

 「それは、魚の鯉」

 「じゃぁ、ソース顔の」

 「単に、顔が濃いちゅうことやろ」

 じゃぁ、じゃぁ・・頭がグルグルして、うまく考えられない

 よろっと足がふら付き、丸椅子に座り込んだ
 
 「私、誰かに恋してるんですか?」

 「・・・無邪気ゆうか、悪気がないっちゅうのも傷つくもんやな」
 会長さんは悲しそうに目を閉じた

 会長さんは私を見ると、この症状が出ると言った
 会長さんの心臓はさっきより速く、張り裂けそう。触れた頬も熱い

 「気のせいやと思とったけど、『もも』に会ったら核心してしもた。俺、あんたが好きや」

 頭が真っ白の私は、ふわりと抱きしめられ、もう一度『好きだ』とはっきり告げられた
 
 男の人に告白されたのは、初めて

 とたんに私の咽喉から、カエルが現れる
 
 「ヒック、ヒック」
 
 「なんや、びっくりしてもうて、シャックリか?かわええなぁ」

 「ヒック、でも、ヒック。会長さんに会って、ヒック今日で3回目ですよ。ヒック」

 「好きになるのに回数は関係あらへん。でも、残念な事に『もも』は別の男に恋しとる」

 「私・・恋なんて・・」
 誰に恋していると言うの?

 「悔しいから名前は出さんけど、ヒント 瞳を閉じて、瞼に浮かんだ男や」

 瞳を閉じて、ファーストキスの相手

 『晶』
 私の名前を呼ぶ、皇兄の声が聞こえた気がした
 
 まさか、そんなはずはない

 「違う。絶対に違う!」
 皇兄であるはずない
 皇兄に恋をしているなんて・・絶対違う

 だって、皇兄と私は・・・

 「どうした?落ち着くんや。『もも』!」
 半分呼吸困難に陥り、興奮する私の背中を会長さんが撫でた

 「そんな・・ことない。恋じゃない。これは恋じゃない」

 何回も否定し続ける私に会長さんが耳元でささやいた

 「なら、試してみればいい」・・と