血がつながった妹が好きだ

中学に入った頃、その感情はどんどん表に現れてきた

周りの同級生はちゃんと別の人を好きになって、恋しているというのに
自分だけが取り残されている不安

妹・・晶に恋してる・・そんな感情を持つオレは、やっぱりおかしい

だってそうだろ?血がつながっているたった一人の妹
小さい頃からずっとオレの後ろにひっついていた妹なんだ

別の女を知れば、自然に晶の事を忘れられると思った

その頃オレは、当時つるんでいた五十嵐と手当たり次第、女と遊んだ

五十嵐のせいなのか、女には不自由しなかったし
告白してくる女も数多くいた

『来る者拒まず』という言葉がオレにはピッタリだった


何人の女とキスをして、何人の女と関係を持ったのか、分からなくなっていた

ただ・・・分かったのは、身体は満たされても、心は満たされない焦燥感

女を抱いている時も、別の事を考えている自分

別の女の体温を知るたび、浮かんでくるのは晶だった

晶に対する想いが、別の女を知る事によって浮き彫りになり・・逆効果だった

晶の凛とした瞳は、今もオレを捕らえて離さない




そう、晶の瞳はじっとオレを捕らえたままだった

「あのさ・・そんなにジッと見てられると、食べるに食べれないんだけど」

オレのフォークを持つ手が止る

晶は一時間後、夜食と昼間焼いたチーズケーキを持ってオレの部屋やって来た

「皇兄 宿題とチーズケーキの味見を見てくれないかな」

だめかな?と最後に小さくつぶやく晶を見て、つい『いいよ』と答えてしまった
オレの意外な返事に驚きを隠しきれない晶は

「ほんと!でも、頭痛いの治ったの?」

と念を押してきた

「薬飲んだし、落ちついてる。それにさっきはお前に悪いことしたからな」

オレのせいでお前を怖がらせた。味見くらいで許してもらえるなら

そして忘れてもらいたい

オレはベットから起き上がった

「良かった。どうしても今日味見をしてもらいたかったの」

晶はベットに座るオレの横にちょこんと座った

「はい。どーぞ」

8等分にカットされたチーズケーキを乗せた皿を手渡される

晶は食べようとするオレの顔を瞬きもせず見つめていた